SIBLINGS :PREV123456789101112131415161718192021222324252627282930313233NEXT

音声資料 川上まつ子さん口演・山田慎太郎聞き起こし・訳注:uwepeker ウウェペケㇾ 民話 17

Initializing Now…
initializing now…
data loading now…
1
ウパㇱチロンヌㇷ゚ カムイ アネ ワ アナン ペ ネイケ,
upascironnup kamuy a=ne wa an=an pe ne hike,
白狐のカムイで私はあるのだが、
2
ん...と ヒナㇰ タ アン メノコ ネ ハウェ ネ ヤ
ん...と [1] hinak ta an menoko ne hawe ne ya
どこにいる女性のことなのか、
[1] 田村研究室に保存されていた、田村すゞ子氏以外の人による筆録ノートでは、「ん...と」が括弧で囲われている。
3
メノコ ピㇼカ トゥ アスㇽ オㇿケ レ アスㇽ オㇿケ アスㇽプ... アスルフ プヌナッキ ハウェ アヌ コㇿ
menoko pirka tu asur orke re asur orke asurpu... [2] asuruhu pununatki [3] hawe a=nu kor
その女性が美しいという噂が2つ、3つと立っていると聞いて
[2] 同ノートでは、asurpuが括弧で囲われている。 [3] 白老アーカイブでは、pununatkiという形でいくつかの用例があり、それぞれ「噂が立つ、評判が立つ」と訳されている。ここではそれらの訳を参考にした。
4
アナン ペ ネイケ, ネ メノコ コオウセテㇾケ カムイ ウタㇻ モシㇼ パ ワノ
an=an pe ne hike, ne menoko koowseterke [4] kamuy utar mosir pa wano
いたところ、その女性に惚れ込んだカムイたちが国の上手から
[4] 同ノートではkoowseterkeとなっており、『田村辞典』でもowseを引くと用例にowse terke「ポーンと飛んでいく」とある。しかし、物語の展開を見るに「惚れ込む」ではないかと判断し、筆者の責任のもと書き換えた。koouseterkeの用例については、白老アーカイブで複数見つかるがすべて同じ物語〔川上まつ子さんの民話(ア)「ポロシルンカムイになった少年」(1985)〕の中で語られている。koouseterke siri ne p「惚れ込んだようなのだから」やne pirka menoko koouseterke「その美しい女性に惚れ込んで」など。
5
モシㇼ ケㇱ ワノ
mosir kes wano
国の下手から
6
エトゥン クス パイェ パ コㇿ
etun kusu paye pa kor
求婚しに次々行くと
7
“ポㇰナ モシㇼ ウン チェㇷ゚ コㇿ ワ アㇻキ ウタㇻ ネ ヤㇰ エアシㇼ トゥラノ アナン ペ ネ” セコㇿ ハウェアン コㇿ,
“pokna mosir un cep kor wa arki utar ne yak easir turano an=an pe ne” sekor hawean kor,
「地下の冥府の魚を持ってきた者たちであってはじめて、私は一緒になる。」と言って、
8
オラ ネ オッカヨ ウタㇻ ネ ポㇰナ モシㇼ ウン パイェ パ ワ チェㇷ゚ コイキ ワ アㇻキ パ ワ ネ... ネ... ネウン ネ ヤッカ ネ メノコ コン ルスイ パ クス,
ora ne okkayo utar ne pokna mosir un paye pa wa cep koyki wa arki pa [5] wa ne... ne... [6] neun ne yakka ne menoko kor [7] rusuy pa kusu,
それから、その男性たちは地下の冥府へと行き、魚を捕ってきて、何としてもその女性と結婚したいので、
[5] ここでは「魚を捕ってきて」となっているが、物語の展開を見るにこの男性たちは地下の冥府から戻ってきていないようである。 [6] 同ノートでは、ne... ne...が括弧で囲われている。 [7] 同ノートでは、korの後に続くrusuyとの関係から音素交替が起きていることを示すように、korのrの下に|n|と記されている。
9
ポㇰナ モシㇼ ウン パイェ パ コㇿ オラ ホシッパ イサㇺ アスルフ
pokna mosir un paye pa kor ora hosippa isam [8] asuruhu
地下の冥府に行ったけれども、それから戻らなかったという噂を
[8] 同ノートでは、hosippa isamの下に線が引かれている。
10
アヌ コㇿ アナン ワ トゥムアン ケウトゥㇺ アヤイコレ コㇿ アナン ペ ネ ルウェ ネ ア ㇷ゚,
a=nu kor an=an wa tumuan kewtum a=yaykore [9] kor an=an pe ne ruwe ne a p,
私は聞いていて、怒りを覚えていたのだが、
[9] 同ノートでは、tumuan kewtum a=eyaykoreの下に線が引かれている。なおこのtumuan kewtumについては、白老アーカイブ内に次の通りいくつかの用例があるが、ここでは物語の展開を踏まえて「怒りを覚えて」と訳した。tumuan keutum ekor kuni eramu na「怒ることなかれ」、tumuan kamui「猛き神、よのつねの神」〔『久保寺辞典稿』〕sekor e=yaynu wa tuman kewtum「と思わず変わらぬ気持ちを」〔川上まつ子さんの民話(ア)「カシワ原で育てられた神の落とし子」(1985)〕tumuan kewtum a=yaykore「怒りの気持ちが湧いてきました」〔川上まつ子さんの神謡語り(ア)「クモを戒めて妻にしたオコジョ」(1987)〕また『バチェラー辞典』を引くと「v.i. to be strong or well」(同p.512)となっており、『ユーカラ集7』では、iteki / tumuan keutum korno「決して/強い感情を持たずに」と訳されている。
11
モイレアン ヤクン
moyre=an [10] yakun
行かないままでいたら、
[10] 同ノートでは、moyre aanになっているが、音声を聞いたうえでmoyre=anではないかと考え表記を変えた。
12
オアㇻ カムヨケレ ノイネ
oar kamuyokere [11] noyne
カムイたちをすっかり殺してしまったらしい
[11] 白老アーカイブにあるこの物語に類話にあたる川上まつ子さんの神謡(ア)「クモを戒めて妻にしたオコジョ(1987)」の中にいくつか用例があり、それを参考にした。例えばa=ekamuy`okere「神殺しをしてしまったのでしょう。」やe=kamuy`okere kor e=an「神殺しをしていた。」などが挙げられる。
13
ハワㇱ ヒ クス オラ シネ アン タ アㇻパアニネ
hawas hi kusu ora sine an ta arpa=an hine
というので、それからある日、私は行って、
14
トイソㇱトゥㇺクサニネ アㇻパ... アㇻパアニネ ネ メノコ
toysostumkus=an [12] hine arpa... [13] arpa=an hine ne [14] menoko
土が重なっている中を通って行って、その女性の
[12] toysostumkus<toy-sos-tum-kusと分けることができ、「土・層になっているもの・~の中・~を通る」となって、「土の中(地中)を通る」という意味になる。似た用例として、白老アーカイブにはtoytumkus「土の中を潜る」がこの物語の類話である川上まつ子さんの神謡(ア)「クモの女神を戒めて妻にしたオコジョ(1987)」の中に出てくる。なお、川上まつ子さんによる口演後の解説では次のように述べて、toysostumの意味とともにupascironnupについても説明している。「あの土の間をくぐって、それupascironnupったらネズミみたいなもんだべさ。あの...真白いのもあれば、黒と白の二毛もいると、赤い...赤毛のものもいるんだよ。で尻尾は本当にキツネの尻尾みたいな体の割に尻尾が立派なの。」 [13] 同ノートでは、arpaが括弧で囲われている。 [14] 同ノートではne neと記されており、下に線が引かれている。ただし、実際の音声ではhine neと聞こえる。
15
アスㇽ アㇱ ペ ネ クス ソンノ カ イメル ウㇱ カネ アン カムイ メノコ, オトゥ カ シンコㇷ゚ オルカ... オレ カ シンコㇷ゚ ランケ ランケ コㇿ アン シリ
asur as pe ne kusu sonno ka imeru us kane an kamuy menoko, otu ka sinkop oruka... [15] ore ka sinkop ranke ranke kor an siri
噂が立っているので、本当に輝いているようであるカムイの女性が2つの結び目、3つの結び目を下ろし下ろしながら糸を紡いでいる様子を
[15] 同ノートでは、orukaが括弧で囲われている。
16
シエトㇰ ウン アヌカㇻ コㇿ トイソㇱ トゥㇺ アクㇱ ヒネ
sietok un a=nukar kor toysos tum a=kus hine
目の当たりにして、土の重なった中を私は通って
17
アㇻパアニネ ア ワ アン ロㇿケヘ タ エクㇱコンナ シプスアン
arpa=an hine a wa an rorkehe ta ekuskonna sipusu=an
行って、その女性が座っている上座に突然私は出てきた
18
アクス イエラムコエシカリ “ヒナㇰ ワ エエㇰ ペ ?ンタ ウェンカムイ ヘ
akusu i=eramukoesikari “hinak wa e=ek pe hnta [16] wenkamuy he
ところ、私に驚いて、「どこからお前は来た者で、何の悪いカムイか、
[16] 同ノートではhentaと記されており、その下に線が引かれている。ただし、音声ではhntaと聞こえる。なお『田村辞典』では「沙流川の下流でも中流でも言うがペナコリの川上まつ子さんは hinta ヒンタ と言う。」と書かれているが、この音声ではそうなっていないようである。
19
ペケㇾカムイ ヘ アレクㇱコンナ
pekerkamuy he arekuskonna
良いカムイかあまりに突然
20
イロㇿケヘ タ ソモ ヤイカタヌ ノ
i=rorkehe ta somo yaykatanu no
私の上座に、遠慮もせずに
21
ヘトゥク シリ エネ アン ヤッカ
hetuku siri ene an yakka
このように出てくるのであっても、
22
ネウン ネ ヤッカ ポㇰナ モシㇼ ウン チェㇷ゚ コㇿ ワ エㇰ ウタㇻ エ... エㇰ ペ エアシㇼ
neun ne yakka pokna mosir un cep kor wa ek utar e... [17] ek pe easir
どうであっても、地下の冥府の魚を持ってきた者とこそ、
[17] 同ノートでは、ek utar e...が括弧で囲われている。
23
トゥラノ アナン ペ ネ ルウェ ネ ナ.” セコㇿ ハウェアニ クス, ナニ スイ ラウォㇱマアニネ,
turano an=an pe ne ruwe ne na.” sekor hawean hi kusu, nani suy rawosma=an hine,
私は一緒になるのだ。」と言うので、すぐまた私は地下にもぐって、
24
ネ ポ... ポㇰナ モシㇼ タ アㇻパアニネ ポㇰナ モシㇼ ウン チェㇷ゚
ne po... pokna mosir [18] ta arpa=an hine pokna mosir un cep
その地下の冥府に行って、地下の冥府の魚
[18] 同ノートでは、mosirが後ろのtaを伴うことで起きる音素交替を示す、|t|がmosirのrの下に記されている。
25
アコ... ア... アライケ ヒネ アコㇿ ワ ホシピアン ワ
ako... a... [19] a=rayke hine a=kor wa hosipi=an wa
を私は殺して、私は持って帰って、
[19] 同ノートでは、ako... a...が括弧で囲われている。
26
ロㇿケヘ タ スイ シプㇱテッテカン. “エエ ルスイ クス エコン ルスイ クス
rorkehe ta suy sipustettek=an [20]. “e=e rusuy kusu e=kor rusuy kusu
上座にまた私は浮かび上がった。「お前は食べたいので、お前は欲しいので、
[20] 白老アーカイブには次の通り、sipustettekとsipustektekという用例がある。suy rorke ta sipustettek’=an kor「また上座に浮かび上がり」〔川上まつ子さんの神謡(ア)「クモを戒めて妻にしたオコジョ」(1986)〕sipustektek hine「浮かび上がって来て」〔上田トシさんの民話(ア)「カツラの船とハリギリの船のけんか」(1996)〕wenkamuy suy sipustektek hine「悪い神がまた浮かび上がって」〔同(1996)〕また、「アイヌ語音声資料9」にあるsikitettekan「サッと身をひるがえした。」の注474では、これをsikir-tektek=anと分解して記されている。以上のように表記が揺れており、音声上も両方に聞き取ることができるため断定できない。ここでは、田村による筆録ノートと同じく音声上もsipustettekと聞こえるため、そのままsipustettekとしている。
27
カムイ ウェンテ
kamuy wente
痛めつけて
28
シネㇷ゚ トゥㇷ゚ ソモ ネ ノ インネ カムイ
sinep tup somo ne no inne kamuy
一人、二人でなく、大勢のカムイを
29
エウェンテ コㇿ エアン. エコㇿ ウェン プリ
e=wente kor e=an. e=kor wen puri
お前は痛めつけている。お前の悪さを
30
アエコヌプㇽ ワ アナン シリ ソモ ネ ナ. エエ ルスイ クス エコン ルスイ ペ ネ ワ アコン... アコㇿ ワ エカン ナ. ホクレ
a=ekonupur [21] wa an=an siri somo ne na. e=e rusuy kusu e=kor rusuy pe ne wa akon... [22] a=kor wa ek=an na. hokure
私は気に入っているのではないぞ。お前は食べたいので、お前は欲しいので、私は持ってきたのだ。早く
[21] 『田村辞典』ではkonupuruという見出しで、「…が気に入る、…が好きである。」という意味になっており、括弧書きで「konupurの聞きまちがいか」と記されている。ただし、音声上はekonupurと聞こえているため、本文ではその通り記している。a=e=konupurかとも思われるが、目的語が直前のe=kor wen puriと考えた場合には、ekonupurであると目的語がもう一つ増えることになるが、それに該当するものが見当たらないように思われる。どちらとも判断がつかないが、訳としてここでは、e=kor wen puriを目的語としてとるようにしている。 [22] 同ノートでは、akonが括弧で囲われている。
31
エ ワ エヤイケウトゥモシレパレ ワ オシッチウ ヤㇰ ピㇼカ ナ.” セコㇿ ハウェアナン コㇿ ネ
e wa eyaykewtumosirepare [23] wa ositciw yak pirka na.” sekor hawean=an kor ne
食べて、(私との婚姻について)決心するが良い。」と私は言いながら、その
[23] この形では用例が見つからないが、『田村辞典』にはeyaykewtumositciwreで「~について決心する」という例が見つかる。ただし、『萱野辞典』ではeyaykewtumositciwreで「心を落ち着かせる」という訳がついており、『ユーカラ集7』ではaeyaikewtum / oshitchiure わが情(こころ)を/おちつけた(p.293), aeyaikewtum / oshitchiure 我自身の情を/落ち着けて(p.255)という用例も見つかる。ここでは物語の展開から結婚について決心すると考えて、訳では『田村辞典』の「~について決心する」を採用している。
32
チェㇷ゚ アコレ アクス “アヤポ オヨヨ.
cep a=kore akusu “ayapo oyoyo.
魚を私は彼女に渡したので、「ぎゃあ~
33
ヌパンカムイ ポㇰナ モシㇼ ウン アㇻパ ワ
nupankamuy [24] pokna mosir un arpa wa
軽いカムイが地下の冥府に行って、
[24] 同ノートではupanと記されて下線が引かれている。また音声上もupanと聞こえるが、nupan「軽い(=位の低い)」〔『久保寺辞典稿』より。括弧書きは筆者による〕ではないだろうか。
34
ポㇰナ モシㇼ ウン チェㇷ゚ コㇿ ワ エㇰ カムイ
pokna mosir un cep kor wa ek kamuy
地下の冥府の魚を捕ってくるカムイは
35
シネㇷ゚ カ イサㇺ クニ アラム コㇿ アナン ワ クス ハウェアナニネ ア ㇷ゚,
sinep ka isam kuni a=ramu kor an=an wa kusu hawean=an hine a p,
一人もいないはずだと私は思っていたので、私はそのように言うのだが、
36
ヒナ... ヒナㇰ ワ エㇰ ウェンカムイ ヘ
hina... [25] hinak wa ek wenkamuy he
どこからか来た悪いカムイか、
[25] 同ノートではhinaが括弧で囲われている。
37
ペケㇾカムイ ヘ
pekerkamuy he
良いカムイか、
38
エネポ エアシㇼ イアッカリ ヌプㇽ ワ ポㇰナ モシㇼ ウン チェㇷ゚ コㇿ ワ エㇰ ワ イコレ シリ エネ アン.” セコㇿ
enepo easir i=akkari nupur wa pokna mosir un cep kor wa ek wa i=kore siri ene an.” sekor
これほどまでに、私より霊力があって、このように地下の冥府の魚を持ってきて、私にくれるのか。」と
39
ハウェアン コㇿ “アㇻウェン... ウェンカムイ ヘ ペケㇾカムイ ヘ?” セコㇿ ハウェアン コㇿ イコホサリイ タ シキヒ アエワッテㇰ アクス
hawean kor “arwen... [26] wenkamuy he pekerkamuy he?” sekor hawean kor i=kohosari hi ta sikihi a=ewattek [27] akusu
言って、「悪いカムイか、良いカムイか?」と言いながら、私の方を向いたとき、彼女の目に私は息を吹きかけたので、
[26] 同ノートではarwenが括弧で囲われている。 [27] 同ノートではaewattekaと記されており、その下に線が引かれている。ただし実際には、a=ewattek akusuではないか。なお、『ウウェペケレ集大成』に収録されている「ウパㇱ・チロンヌㇷ゚・ヤオㇱケㇷ゚」では、a=ewattek anakusuとなっており、白老アーカイブでは、sikihi a=ewattettek akusu orano「女神の目に息をかけると」〔川上まつ子さんの神謡(ア)クモを戒めて妻にしたオコジョ(1987)〕となっている。これらはこの物語の類話に相当するもので、本文の日本語訳ではこれらを参考にした。
40
エアㇻキンネ シキヒ コヤイウェンヌカㇻ “アヨアヨ アシキヒ マㇰネ フミ
earkinne sikihi koyaywennukar “ayoayo a=sikihi [28] makne humi
大層彼女の目を彼女は苦しんで「ぎゃあ、私の目がなぜだか
[28] 同ノートではa=sikihiの前にダブルクォーテーションがついている。
41
アマカ カ エアイカㇷ゚ ノ アシキヒ
a=maka ka eaykap no a=sikihi
開けられないほどに私の目
42
アコヤイウェンヌカㇻ フミ エネ アン” セコㇿ ハウェアン コㇿ ライホチカチカ ライパラパラㇰ ヒ クス
a=koyaywennukar humi ene an” sekor hawean kor rayhocikacika rayparaparak hi kusu
このように私は苦しんでいるのか。」と言いながら手足をばたつかせ、大泣きしているので、
43
“エシキヒ パテㇰ タクㇷ゚ ネ ヤ
“e=sikihi patek takup [29] ne ya
「お前の目だけしか苦しまないか。
[29] patekとtakupの用法をみると、patekは肯定的、takupは否定的なニュアンスで用いられるとある(田村辞典を参照)。ただし、『千歳辞典』のtakupには、a=e pone takupi patek okay ruwe ne sekor「食べられた骨ばかりがあったと」という用例がある。ここでの用法は田村辞典を踏まえて考えれば、否定的用法ともとれるかもしれない。しかしながら、これらを踏まえても、ここでのtakup patekをどう解釈すべきなのかは分からない。
44
インネ カムイ カムイ オピッタ エヤイウェンヌカレ コㇿ
inne kamuy kamuy opitta e=yaywennukare kor
大勢のカムイたちを皆お前は苦しめて、
45
エアン. ヘマンタ メノコ エネポ エアシㇼ
e=an. hemanta menoko enepo easir
いる。何の女性がこれほどまでに
46
カムイ コイキ ワ アプンノ アイヌモシㇼ カ タ イヨロッ エアㇱカイ ペ ネ ワ ヘタㇷ゚ エキ クス
kamuy koyki wa apunno aynumosir ka ta iyorot easkay pe ne wa hetap ek hi kusu [30]
カムイをいじめて、静かに(何事もなく)人間の世界の上で仲間入りできるものだということでか、やって来たので、
[30] 同ノートでは、eki kusuとなっているが、音声を聞くとek hi kusuに聞こえる。これを踏まえると、冒頭語り手がmenokoと言っているところから、人間の女性を想定していると考えると、続くaynumosir ka taという表現がカムイ同士の話で出てくることも納得できるかもしれない。川上まつ子さんによる人間とカムイの関係の見方を示す一例かもしれない。
47
エウニヒ コクシㇱ アエシㇼコウフイカ クス ネ ルウェ ネ ナ.” セコㇿ ハウェアナン アクス, “ アシキヒ タクㇷ゚ アコヤイウェヌカレ
e=unihi kokusis a=esirkouhuyka [31] kusu ne ruwe ne na.” sekor hawean=an akusu, “ a=sikihi [32] takup a=koyaywenukare
お前の家共々私は激しく燃やしてやるぞ。」と私は言ったので、「私の目だけで私は苦しめられる
[31] esirkouhuyka<e-sirko-uhuykaと分解して「~を激しく燃やす」という意味でとっている。『萱野茂のアイヌ神話集成4』の貝澤とぅるしのさんの散文説話にはsirkouhuykaという用例が一つ見つかる。SIKKARI pon sinrici unno puspa wa apapok un rura wa kasi un tumun ne yakka usa kameasi rura wa sirkouhuyka wa SIKKARI supuyaha hopuni wa isam kunine kar wa i=kore yan「しっかりと小さい根っこまで掘り起こして、裏口へと運んで、その上にごみや、[その]魔物(クルミ)も運んできて、しっかりと燃やして、しっかり煙が立ち切ってしまうようにしてくださいな。」 (p.118) その注である、注24には「sirko=しっかり、強く uhuyka=~を燃やす」とある。これも訳の参考にしている。 [32] 同ノートではa=sikiとなっているが、音声を聞くとa=sikihiと聞こえるため表記を変えている。
48
パテㇰ カ,
patek ka,
だけでも、
49
ヤイウェンヌカラン ペ アウニヒ カ アイコウフイカ ハウェ ネ ヤクン
yaywennukar=an pe a=unihi ka a=i=kouhuyka hawe ne yakun
私は辛いものを、私の家も燃やされるということならば、
50
マカナㇰ オカケ タ イキアン クス” セコㇿ ハウェアン コㇿ, ライ ケッ... ケチ コㇿ アン ハウェ アヌ コㇿ,
makanak okake ta iki=an kusu” sekor hawean kor, ray ket... [33] keci kor an hawe a=nu kor,
どのように今後すればよいのだろう。」と女性は言いながら、呻き声をあげている声を私は聞くと、
[33] 同ノートでは、ketが括弧で囲われている。
51
オラ スイ ラウォㇱマアニネ,
ora suy rawosma=an hine,
それからまた私は地下へもぐって、
52
トイソㇱトゥㇺクサニネ アウニ タ エカン ワ
toysostumkus=an hine a=uni ta ek=an wa
土の中を通って、私に家に来て
53
アナン オラ ホサリアン ワ インカラン コㇿ クンネ ヘネ トカㇷ゚ ヘネ シキヒ エヌワㇷ゚ コㇿ
an=an ora hosari=an wa inkar=an kor kunne hene tokap hene sikihi enuwap [34] kor
いた。それから振り向いて見ると、夜も昼も彼女の目を彼女は苦しみながら
[34] nuwapを調べると、『田村辞典』に「(苦しんで)うなる」とある。enuwapは自動詞であるnuwapに他動詞化する接頭辞を付けたものだと判断し、「~で苦しんでうなる」と考え、訳は「苦しみながら」とした。なおenuwapについて、この意味での類例は管見の限り見当たらない。なお、川上まつ子さんによる口演後の説明では、「そのupascironnupがpokna mosirさ行ってもってきた魚をやってやったらその女がどこのwenkamuyだか、pekerkamuyだかわからないものがよくまあそのpokna mosir un cepもってきたもんだなって言ったので、腹んばい悪いからその女の目さその男がぷーぷーってこう吹いたんだって、息吹いたんだって、たら目病んで苦しんだっていうこと。」と述べ、続いて「子ども産む時ばかりでないよ。どこかここか痛くて苦しくなればnuwapするのは、子どもの生まれる時にきまったもんでないんだもん。」と述べてenuwapについて説明している。
54
ヤイカㇻカㇻセレ コㇿ ア... ネ ヒケ カ オポソ アモトホ フナラ
yaykarkarsere kor a... [35] ne hike ka oposo a=motoho hunara [36]
彼女はのたうち回っていたが、私の正体を見通そうとして
[35] 同ノートでは、aが括弧で囲われている。 [36] 同ノートではここにピリオドが打たれている。
55
エヤイラムカシッネ コㇿ アン シリ アヌカㇻ コㇿ ケㇱト クンネ ヘネ トカㇷ゚ ヘネ キ コㇿ アナン アイネ
eyayramukasitne kor an siri a=nukar kor kesto kunne hene tokap hene ki kor an=an [37] ayne
悔しがっている様子を見ながら、私は毎日夜も昼もそうしながら私はいたあげく
[37] 同ノートではここにピリオドが打たれている。
56
エイタサ アラムオカ ヒ カ アエランポキウェン カ キ ヒ クス アモトホ アエパカㇱヌ アクス
eytasa a=ramuoka hi ka a=erampokiwen ka ki hi kusu a=motoho a=epakasnu akusu
あげく、あまりに私が賢いことも、私は気の毒に思ったので私の素性を私は教えたところ、
57
ヤイ... チッ... チタㇻペ,
yay... cit... citarpe,
茣蓙、
58
チタㇻペ シケ カリネ
citarpe sike [38] kar hine
背負い茣蓙を彼女は作って、
[38] 『アイヌ語音声資料5』には、citarpe sikeについて注釈で「ござで荷物をつつんでリュックのように背負う, 昔の荷物の運び方である」とある。なおcitarpe sikeの用例は、『アイヌ語音声資料2』にもある。
59
セ ヒネ イヘコテ エㇰ コㇿ アン シリ エカリ アヌカㇻ コㇿ アナン.
se hine i=hekote ek kor an siri ekari a=nukar kor an=an.
背負って、私の方へ来ている様子をこちら側から私は見ていた
60
アクス, アウヌフ ソ... アウニヒ ソイケ タ エㇰ ヒネ シㇼキッキㇰ フミ アㇱ コㇿカ,
akusu, a=unuhu so... [39] a=unihi soyke ta ek hine sirkikkik humi as korka,
ので、私の家の外に彼女は来て、彼女があたりを叩いて知らせる音がするので、
[39] 同ノートでは、a=unuhu soが括弧で囲われている。ここでは後ろに続く文を言い直している。
61
ハウ... ハウコラニネ
haw... hawkor=an hine
私は声を出して、
62
ソイネアニネ キ カ ソモ キ ノ オラ アロカㇺキンノ アウニヒ
soyne=an hine ki ka somo ki no ora arokamkinno a=unihi
外へ出ることもせずにいると、わざと私の家
63
オンナイケ トゥムン
onnayke tumun
の中にごみ
64
イロンネ トゥムン
ironne tumun
厚いごみ、
65
トゥムン トゥㇺ タ アナン シㇼ ネノ アヌカレ クニネ イキアニネ,
tumun tum ta an=an sir neno a=nukare kunine iki=an hine,
ごみの中で私が暮らしているかのように(彼女に)見せているようにして、
66
ソモ ソイネアン ハウコラン カ... ヘネ キ カ ソモ キ ㇷ゚ ネ クス オラ フンナ エエㇰテ ワ エエキネ ワ,
somo soyne=an hawkor=an ka... [40] hene ki ka somo ki p ne kusu ora hunna e=ekte wa e=ek [41] hine wa,
私は外に出ず、声を出すこともなかったので、すると、「誰に来いと言われてきたのでもあるまいし、
[40] 同ノートでは、kaが括弧で囲われている。 [41] 萱野茂『ウウェペケレ集大成』に収録されている類話には、「フンナ エ・エㇰ・テ・ワ・エ・エㇰ・ヘ・キ」で、「誰に来いと言われて来たのでもあるまいし」と訳され反語的に表現されている。ここでもこの訳を参考にした。なお、同ノートには心内語の開始を示す記号がなかったが、文脈を判断したうえで、「誰に来いと...」から開始した判断して、日本語訳では鍵カッコを挿入している。
67
ネウン アイコカトゥン マヌ クスン, クス エカン ペ ネ クス アフナン ワ インカラン ナ.” セコㇿ ヤイヌ クス,
neun a=i=kokatun [42] manu kusun [43], kusu ek=an pe ne kusu ahun=an wa inkar=an na.” sekor yaynu kusu,
どんな態度を取られたからといっても、そのために私は来たものだから、私は中に入ってみよう。」と思ったので、
[42] 白老アーカイブには、neun a=i=kokatun ya「どんな態度を私に取るのか」〔川上まつ子さんの民話(ア) 伝染病の神の息子とねたむ人間たち(1987)〕という用例がある。一方で、田村すゞ子による『アイヌ語音声資料』をみると、こちらでは動詞の後に続く形でしかkokatunの用例が見つからない。また、同じく『田村辞典』を見てもkokatunが名詞と取られていることからも、田村はこの語が動詞として使えることを知らなかった可能性があるかもしれない。 [43] AA研2015年度公開資料の『民話4』にもhemanta e=yay(sita)sitoma manu kusun ene,「何だ、あなたは恥ずかしいとかいう理由で」という用例があるほか、久保寺による『神謡・聖伝の研究』にもe-koipak manu kusu / e-ko-irushka 「(汝が)罰するなんどと/汝が怒ればとて」〔神謡1火の媼神の自叙 255, 256行目〕とあり、その注釈122には「汝に対して立腹したといってもそのために」というより詳細な訳が記されている。ここではこれらを訳の参考にした。
68
アフン ヒネ オシ... アパ テㇰサㇺ
ahun hine osi... [44] apa teksam
中に入って、戸口のそば
[45] 同ノートでは、osiが括弧で囲われている。osiso un apa teksam「右座から戸口のそば」と言いかけたか。
69
コ... コシキル シケヘ アヌ ヒネ
ko... [46] kosikiru sikehe anu hine
の方に向いて、荷物を置いて
[47] 同ノートでは、kaが括弧で囲われている。
70
シケ エコパㇱ ア ワ アン シリ アヌカリケ カ エウン イタカン エネ ホサリアン ヒケ... ヘネ キ カ ソモ キ ノ,
sike ekopas a wa an siri a=nukar hike ka eun itak=an hene [48] hosari=an hike... [49] hene ki ka somo ki no,
荷物に寄りかかって座っている様子を私は見ても、そちらへ私は話しかけることも振り向くこともしないで、
[48] 同ノートでは、euni i ta ka neneと記されており下線が引かれている。ただし音声ではeun itak=an heneと聞こえるため、筆者の判断で書き直している。 [49] 同ノートでは、hi kaが括弧で囲われている。
71
アナン アクス,
an=an akusu,
いたので、
72
タネ シッ トケㇱ ルイノ シッ トケㇱ アクス オラ オハㇻキソ ウン
tane sir tokes ruyno sir tokes akusu ora oharkiso un
今や日が暮れ、うんと日が暮れたので、それから左座に
73
ヌㇷ゚キ クタ プラ... プヤㇻ プヤㇻ ポㇰ タ
nupki kuta pura... [50] puyar puyar pok ta
排水窓の下に
[50] 同ノートでは、puraが括弧で囲われている。
74
シケヘ ニンパニンパ ヒネ アㇻパ ワ,
sikehe ninpaninpa hine arpa wa,
彼女は荷物を引きずり引きずりして行って、
75
シケヘ カシ エオマ ワ アン シリ アヌカㇻ コㇿカ, モㇱマノ
sikehe kasi eoma wa an siri a=nukar korka, mosmano
荷物にもたれている様子を私は見たのだが、構わずに
76
ア... アナン アクス オラノ
a... [51] an=an akusu orano
いたので、それから
[51] 同ノートでは、aが括弧で囲われている。
77
シロヌマン ホッケ コㇿ シㇼペケㇾ ワ ホプニ コㇿ オラノ
sironuman hotke kor sirpeker wa hopuni kor orano
夜になり、彼女は横になると夜が明けて、起きるとそれから、
78
ケㇱト ケㇱト トゥムン ソイ オマレ ソヨ ア ソヨ ア フミ ネ アイネ アペコㇿ ヤイヌ コㇿ
kesto kesto tumun soy omare soyo a soyo a humi ne ayne apekor yaynu kor
毎日毎日、ごみを外に放って、外に出して、外に出している感じが長いことしているかのように思って
79
アン シリ アエミナ ルスイ カ キ コㇿ
an siri a=emina rusuy ka ki kor
いる様子を私は笑いたくなりながら、
80
アナン アイネ シネ アン タ,
an=an ayne sine an ta,
いるうちに、ある日、
81
ウパン カムイ ネㇷ゚ カムイ ネ ワ ポㇰナ モシㇼ ウン アㇻパ ワ
upan [52] kamuy nep kamuy ne wa pokna mosir un arpa wa
軽いカムイ、何のカムイであって、地下の冥府に行って、
[52] 同ノートでは、upanと記されており、音声上もupanのように聞こえるが、nupan「軽い(=位の低い)」(久保寺辞典稿より)ではないか。
82
ポㇰナ モシㇼ ウン チェㇷ゚ コㇿ ワ エㇰ パㇰノ イキ カムイ ネ クス,
pokna mosir un cep kor wa ek pakno iki kamuy ne kusu,
地下の冥府にいる魚を持ってきてまでするカムイであるので、
83
アタㇻペムイェ アエホトゥイトゥイェ
a=tarpemuye a=ehotuytuye
私は荷物をまとめて背負って
84
エカン アワ,
ek=an awa,
来たが、
85
イヤイポカㇱテ
i=yaypokaste [53]
私を嫌う
[53] yay-pokas-teと分解すれば、「自分を嫌う」ととることができる。なお、yay-ipokashte「いとひ嫌ふ」(久保寺辞典稿p.319 1005より)という見出しも見つかる。
86
クス ネイ パㇰノ
kusu ney pakno
ので、いつまでも
87
イラムコイキ シリ エネ アン. ヘマンタ カムイ トゥムン トゥムン ノㇱキ タ ノㇱキ パㇰノ トゥムン オㇿ エウㇱ ワ オカ カムイ ヒナㇰ タ オカイ ペ ネ ワ,
iramukoyki siri ene an. hemanta kamuy tumun tumun noski ta noski pakno tumun or eus wa oka kamuy hinak ta okay pe ne wa,
いじめる様子がこのようである。何のカムイがごみの中にまで、半分くらいごみの中に埋まっているカムイがどこにいるものであって、
88
エネ ケㇱト ケㇱト トゥムン ソヨ ワ アキ ヒケ カ アオケレ カ ニウケㇱ シリ エネ アン.” セコㇿ ヤイヌ ワ,
ene kesto kesto tumun soyo wa a=ki hike ka a=okere ka niwkes siri ene an.” sekor yaynu wa,
このように毎日毎日、ごみを外へ出すことを私がしても、私がし終えてもしきれない様子がこのようである。」と思って、
89
アㇱトゥㇱテッカ ワ アン アイネ
astustekka [54] wa an ayne
仁王立ちをしているうちに
[54] 同ノートではastustekkaの前にaarusと記されているが、音声では聞こえない。
90
イケ カ エウン ホサリアン ヒネ イタカン ネ... ヘネ キ カ ソモ キ ㇷ゚ ネ クス,
hike ka eun hosari=an hine itak=an ne... [55] hene ki ka somo ki p ne kusu,
そちらへ私は振り向いて話すこともしないでいたので
[55] 同ノートではneが括弧で囲われている。
91
ネ ヒ ネノ アㇱ ワ アン アイネ,
ne hi neno as wa an ayne,
あるかのように、立ち止まっているうちに
92
アㇱ... アㇱ エシンキ ワ ネ コトㇺ アン.
as... [56] as esinki wa ne kotom an.
立ち疲れた様子であった。
[56] 同ノートではasが括弧で囲われている。
93
ホラライセ ヒネ スイ シケヘ カシ エオマ ワ
horarayse [57] hine suy sikehe kasi eoma wa
それからすべるようにして座って、また荷物に寄りかかって
[57] 同ノートではora rayseとあるが、音声からhorarayseと判断した。
94
ピㇼカ モコㇿ キ ワ アン シリ アヌカㇻ ヒ クス オラ,
pirka mokor ki wa an siri a=nukar hi kusu ora,
良い眠りをしている様子を私は見たので、それから
95
エポソ アシヌマ カムイ アネ クス カムイ カㇻ チャシ カネ チャシ チャシ トゥㇺ ウㇷ゚ソㇿ タ
eposo asinuma kamuy a=ne kusu kamuy kar casi kane casi casi tum [58] upsor ta
本当に私はカムイであるので、カムイの築いた城、金の城、城の中に
[58] 同ノートではtumが括弧で囲われている。また、その後にピリオドが打たれている。
96
カネ ソ オㇿ エウン, ソ オㇿ ネ ヤッカ アコㇿ イヨイキㇼ ネ ヤッカ イメキヒ
kane so or eun, so or ne yakka a=kor iyoykir ne yakka imekihi [59]
金の床の方へ、床であっても、私の宝壇であっても、
[59] 同ノートではimekihiが括弧で囲われている。ここでは後ろに続くnipekihiを言おうとして言い淀んだか。
97
ニペキヒ マㇰナタラ カネ
nipekihi maknatara kane
その光は煌々としている様子
98
アン ペ, アネ ペ ネ アイ クス, エネ アナン ア ヒ ネノ
an pe, a=ne pe ne a hi kusu, ene an=an a hi neno
であるものが、私であるので、このように私は暮らしていた時と同じように
99
アヌカレ クニネ イキアニネ アナン アクス, モコㇿ ワ アン アイネ
a=nukare kunine iki=an hine an=an akusu, mokor wa an ayne [60]
私はその女性のカムイに見せるように私はしていたので、彼女は長いこと寝たあげく
[60] 同ノートではnoyneと書かれているが、音声はayneと聞こえるため、筆者の判断で書き換えた。
100
モㇱ... モㇱ ヒネ シトゥリリ フミ
mos [61]... mos hine situriri humi
目を覚まして、背伸びしている感じ
[61] 同ノートではmosが括弧で囲われている。
101
シマチチ フミ ピㇼカ ヒネ エキマテㇰ ワ マッコサヌ.
simacici [62] humi pirka hine ekimatek wa matkosanu.
伸びをしている感じが心地良くいると、彼女は驚いて飛び起きた。
[62] 川上まつ子さんによる口演後のやり取りでは、「背伸びすること、situriri, simaciciも、situririっていうのは足もピンと伸ばしてのsituri, simaciciっていったら腰から上さみたいに、こう上さ手上げて、ふとんの上にでも伸びるのがsimacici」と語っている。
102
ソ ピㇼカ シリ
so pirka siri
床が美しい様子
103
イヨイキㇼ ニペㇰ ソ... ソ ニペㇰ チセ... ニ... チセニ カンコトㇿ ニペㇰ ウコマㇰナタラ シリ ヌカㇻ ワ
iyoykir nipek so... [63] so nipek cise... ni... [64] ciseni kankotor [65] nipek ukomaknatara siri nukar wa
宝壇の輝き、床の輝き、家の柱、天井の輝きが互いを照らしあっている様子を彼女は見て、
[63] 同ノートではsoが括弧で囲われている。 [64] 同ノートではcise niが括弧で囲われている。 [65] 川上まつ子さんは口演後のやり取りで「この天井ないば、屋根のkotorohoのこというの。cisekankotoro今は天井あるから屋根の裏見えないけども」と述べて、kotorの意味を解説している。
104
エキマテキネ シネアニポナントゥイェレ チㇱ コㇿ アン ペ ネ シリ イキ ヒケ カ,
ekimatek hine sineaniponantuyere [66] cis kor an pe ne siri iki hike ka,
驚いて、一か所を見つめて泣いている様子をしていても、
[66] 同ノートではsineanipo nantuyereがハイフンで繋がれており、一語として扱われている。川上まつ子さんは口演後のやり取りで「sineaniponantuyereって言うんだわ。ponanintuyereでなく、sineaniponantuyereっていうとこ、ひととこばっかりこう顔向けてうつぶいてみていることが、sineaniponantuyere。それがひととこばっかり同じとこばっかり見ていることが。」と、この語の解説をしている。
105
アペ サㇺ タ アナン アアン ワ アナニケ カ エウン イタカン ヘネ キ カ ソモ キ ノ アナン アクス, テㇰチキㇼポ ヒネ テㇰ コㇿ レイェレイェ ワ エキネ,
ape sam ta an=an a=an wa an=an hike ka eun itak=an hene [67] ki ka somo ki no an=an [68] akusu, tekcikirpo hine [69] tek kor reyereye wa ek hine,
火の傍に私は座っていても、そこに話しかけることもしないでいたので、四つん這いになって、四つん這いになって来て、
[67] 同ノートではeun ta ka ne neとなっているが、音声を聞くとeun itak=an hene と聞こえるため、筆者の判断で書き換えた。 [68] 同ノートではan=anの後にピリオドが打たれている。 [69] 同ノートではheneとなっているが、hineか。
106
イアㇻソケ タ モノ ア
i=arsoke ta mono a
私の向かいに座った。
107
ペシㇰシㇰ シン ネ アン カムイ オトピヒ
pesiksik [70] sir ne an kamuy otopihi
水玉模様であるカムイの髪
[70] 同ノートではpesiksitとなっているが、pesiksikであると判断して書き換えた。
108
シㇼカ オチウレ カネ パㇰノ
sirka ociwre kane pakno
が地面につくくらいに
109
トイコオリパㇰ ワ アニ クス,
toykooripak wa an hi kusu,
すっかりかしこまっていて、
110
”ヘマンタ エカㇻ クス
”hemanta e=kar kusu
何をお前は作ったので
111
エエㇰ シリ ネ ヤ?
e=ek siri ne ya?
お前は来たのか?
112
エウェンカッチャマハ エコㇿ ウェンケウトゥㇺ カムイ オピッタ アイヌ モシㇼ カ タ オカ カムイ オピッタ エコレカ クニ エラム クス エイキ ヒネ ヤ
e=wenkatcamaha [71] e=kor wenkewtum kamuy opitta aynu mosir ka ta oka kamuy opitta e=koreka kuni e=ramu kusu e=iki hine ya
お前の悪い行い、悪い心を、神々がみな褒めそやすと思って、お前は振舞っていたことなのか。
[71] 川上まつ子さんは口演後のやり取りでwenkatcamについて、「wenkatcamは悪いことすること。」と解説している。
113
ライ イ... ネ マヌ ㇷ゚,
ray i... [72] ne manu p,
死ぬということ
[72] 同ノートでは、iが括弧で囲われている。
114
フンナ ラウェ ワ ライ ルスイ ペ ネ ワ ライ ネ マヌ ㇷ゚,
hunna rawe wa ray rusuy pe ne wa ray ne manu p,
誰が望んで死にたいもので死ぬということを
115
キ ワ ピㇼカ ㇷ゚ ネ... ア...ネ ヤクン アテケヘ アニ アエウェンパㇰㇱヌ
ki wa pirka p ne... a... [73]ne yakun a=tekehe ani a=e=wenpaksnu [74]
して良いものであるならば、私の手でお前をひどく罰して
[73] 同ノートではne aが括弧で囲われている。 [74] wenpakasnu<wen-pakasnu「ひどく・~を罰する、戒める」白老アーカイブに次のような用例が数多く見つかる。例えば次の通り。kesorap a=wenpakasnu kuni「ケソラップをひどく罰するようにと」〔川上まつ子さんの民話(ア)「エゾマツと魔鳥」(1985)〕a=wenpakasnu kusu ne ruwe ne na「罰を与えるつもりだ。」〔川上まつ子さんの民話(ア) あの世へ行った男の話(1985)〕など。
116
クニ アラム クス アエシコエㇰテ ワ エエㇰ シリ ネ,
kuni a=ramu kusu a=e=sikoekte wa e=ek siri ne,
やるつもりで、私がお前を寄こして、お前は来たのである。
117
オラ ネウン エコカトゥン ヤ アヌカㇻ ルスイ クス オアロカㇺキンノ(アロカㇺキンノ) トゥムン チョㇿ... ノㇱキ タ トゥムン トゥㇺ タ
ora neun e=kokatun ya a=nukar rusuy kusu oarokamkinno(arokamkinno) tumun cor... [75] noski ta tumun tum ta
それからどんな態度をお前は取るのか私は見たいので、全くもってわざとごみの真ん中に、ごみの中に
[75] 同ノートではcorが括弧で囲われている。
118
アナン シリ ネ ペコㇿ アエヌカレ コㇿ アナン ヒケ カ アシヌマ アナㇰネ,
an=an siri ne pekor a=e=nukare kor an=an hike ka asinuma anakne,
暮らしているようなふりをお前に見せていたが、私は、
119
イヨイキン ノカ ニペキ シㇰ... チセ オンナイ ニペㇰ アエ... アエヤイカムイネレ コㇿ アナン ペ ネ ルウェ ネ アワ タネ ポオ アシヌマ
iyoykir noka nipeki sik... [76] cise onnay nipek ae... [77] a=eyaykamuynere kor an=an pe ne ruwe ne awa tane poo asinuma
宝壇を模したものの輝き、家の中の輝きによって私は立派なカムイになったのだが、今やなお一層私
[76] 同ノートではsikが括弧で囲われている。 [77] 同ノートではaeが括弧で囲われている。
120
アコㇿ チセ オンナイ イペキ... ニペキヒ エヌカㇻ コㇿ イアㇻソケ タ エア シリ ネ ワ テ ワノ カ ネノ アン ウェン プリ ウェン ケウトゥㇺ エコㇿ クニ エラム ヤクン アシヌマ アテケヘ アニ アㇻウェンカムイ ネ
a=kor cise onnay ipeki... [78] nipekihi e=nukar kor i=arsoke ta e=a siri ne wa te wano ka neno an wen puri wen kewtum e=kor kuni e=ramu yakun asinuma a=tekehe ani arwenkamuy ne
私の家の中の輝きをお前は見て、私の向かいに座ったようで、これからも同じように悪い振る舞い、悪い心を持とうとお前が思ったならば、私は私の手でお前を悪いカムイに
[78] 同ノートではipekiが括弧で囲われている。
121
アエカㇻ ルスイ クス, アエカㇻ ルスイ クス, アエシコエㇰテ シリ ネ ナ.” セコㇿ ハウェアナン アクス チㇱ ア チㇱ ア チㇱ ア コㇿ, ”テ ワノ アナㇰネ オハイネ オハイネ アシヌマ ウェナン.
a=e=kar rusuy kusu, a=e=kar rusuy kusu, a=e=sikoekte siri ne na.” sekor hawean=an akusu cis a cis a cis a kor, ”te wano anakne ohayne ohayne asinuma wen=an.
してやりたいので、私はお前を寄こしたのだ。」と私は言うと、泣いて泣いて泣きながら、「これからは、なるほど私は悪かった。
122
フンナ アイヌ モシㇼ カ タ
hunna aynu mosir ka ta
誰が人間の世界に
123
アン ペ アネ ワ オラ ポㇰナ モシㇼ ウン チェㇷ゚ マㇰ オカイ ペ ネ ワ アエ エアㇱカイ ペ ネ ヒネ エトゥ... イネ ヘンパㇰ カムイ
an pe a=ne wa ora pokna mosir un cep mak okay pe ne wa a=e easkay pe ne hine etu... [79] ine hempak kamuy
いるものが私であって、それから地下の冥府にいる何匹かの魚、お前が食べられるようにして何人かのカムイを
[79] 同ノートではetuが括弧で囲われている。
124
アシモンポㇰ オマレ
a=simonpok omare
私は見下して
125
ア ヒ アシヌマ
a hi asinuma
いたこと、私が
126
ウェナン シリ ネ クス, テ ワノ アナㇰネ ネノ アン ウェン プリ ソモ アコㇿ クス ネ ナ.
wen=an siri ne kusu, te wano anakne neno an wen puri somo a=kor kusu ne na.
悪かったので、これからは今までのように悪さを私はしない。
127
シㇰヌ ポカ イキレ ワ イコレ ヤㇰ ピㇼカ ナ.” セコㇿ ハウェアン コㇿ
siknu poka i=kire wa i=kore yak pirka na.” sekor hawean kor
私を死なずにさせてくれたら嬉しい。」と彼女は言いながら
128
チㇱ ア チㇱ ア コㇿ トイコヘポキ
cis a cis a kor toykohepoki
泣きながら泣きながら頭を下げて
129
イコヘポキポキ ヒケ,
i=kohepokipoki hike,
私に頭を下げたところ
130
ケウトゥムフ アフイマンパ アクス ケウトゥムフ ウェン エネ キ ヒ カ ソモ ネ ノ,
kewtumuhu a=huymanpa [80] akusu kewtumuhu wen e=ne ki hi ka somo ne no,
彼女の気持ちを私は良く見定めたところ、心持ちが悪いのがお前ではないので
[80] 川上まつ子さんが口演後のやり取りで、「精神がいいか悪いかを確かめるのに色々と話しかけたり、しゃべったりするのがkewtum humanpa. kewtumuhu精神が悪いかいいかの検査をされること」と、この語について解説している。
131
マㇰ カトゥ ネ ワ ネ カムイ チㇱテ カムイ ウェンテ シㇼ ネ ヤ ネ コㇿカ アシㇼパロㇱケレ ヤッカ ピㇼカ ノ ケウトゥム アラムオㇱマ カ アエランポキウェン カ キ ヒ クス オラ
mak katu ne wa ne kamuy ciste kamuy wente sir ne ya ne korka [81] a=sirparoskere yakka pirka no kewtumu a=ramuosma [82] ka a=erampokiwen ka ki hi kusu ora
一体どうして、そのカムイを泣かせて、カムイを悪くさせているのか、 けれどもよく彼女の心に私は納得もし、かわいそうに思いもし、それから
[81] ne ya korkaという用例は類例があまり見つからないが、『アイヌ語音声資料10』の民話2には、前の行がruwe neで終わり、ne korkaとはじまっているものがある。これを参考にすると、ここでもmak katu ne wa ... Ne ya, ne korka「(kewtumu wenでもないのに)一体どうして...なのか、けれど」とつながっているのかもしれない。 [82] 同ノートでは aramu-osmaと分かち書きされている。
132
“テワノ エケウトゥム エウェンケウトゥㇺフ ソモ
“tewano e=kewtumu e=wenkewtumhu somo
「これからはお前の心持ち、悪い気持ちを持たず
133
エヤイコシラムスイパ ノ
e=yaykosiramusuypa [83] no
お前は良く考えを巡らせて
[83] e=kewtumu e=wenkewtumuを目的語として捉えるならば、eyaykosiramsuypaと2項動詞になっている方が都合が良いので、e=eyaykosiramsuypaなのかもしれない。ただし、そのように聞こえるか判然としないため、同ノートでの表記を踏襲しているが、yaykosiramsuypaであると動詞として項が不足することになってしまう。
134
アイヌ モシㇼ カ タ アプンノ ピㇼカ アイヌ スクㇷ゚, アイヌ エトゥレン
aynu mosir ka ta apunno pirka aynu sukup, aynu e=turen
人間の世界でたくさん良い人間を育て、人間をお前が見守ろう
135
エキ クニ エラム ヤクン,
e=ki kuni e=ramu yakun,
とするつもりだとお前が思うならば、
136
アウェンパカㇱヌ ソモ キ クス ネ ルウェ ネ ナ.
a=wenpakasnu somo ki kusu ne ruwe ne na.
私は厳しく罰することはしないぞ。
137
イカン イカン タン... ナ アッカリ ネン カ アン ウェンプリ エコレ ヤクン,
ikan ikan tan... na akkari nen ka an wenpuri e=kore yakun,
決して、決して今より何も悪い振る舞いをするならば、
138
アエトイコパㇰㇱヌ クス ネ ルウェ ネ ナ.” セコㇿ アユㇷ゚ユㇷ゚ケレ アクス オラノ,
a=e=toykopaksnu kusu ne ruwe ne na.” sekor a=yupyupkere akusu orano,
私はお前を厳しく罰するぞ。」とわたしは厳しく言い聞かせたので、それから
139
シㇼ カ タ サパハ シㇼ カ オチウ カ ネノ イコヘポキ コㇿ ,
sir ka ta sapaha sir ka ociw ka neno i=kohepoki kor ,
私に何度も頭を下げながら、
140
“テ ワノ アナㇰ ソモ アン エネ ウェンカㇺ... ウェン プリ ソモ アコㇿ クス ネ ルウェ ネ ナ. ネ ナ.” セコㇿ ハウェアン.
“te wano anak somo an ene wenkam [84]... wen puri somo a=kor kusu ne ruwe ne na. ne na.” sekor hawean.
「これからは悪さを私はしないですよ。」と彼女は言って、
[84] 同ノートではwen kamが括弧で囲われている。
141
ヒネ トゥラノ アナン. イアㇻソケ オマ ワ アスケレ ワ ウカスイ アエ イパロ オㇱケ コㇿ
hine turano an=an. i=arsoke oma wa a=sukere wa ukasuy a=e i=paro oske kor
一緒に暮らした。私の向かいの座にいて私は炊事をさせて、助け合って私は食べ、私の口に食べさせながら
142
オカアン アイネ アエヤイコシラㇺスイパ ヒケ ネイ タ パㇰノ アランモカ ワ
oka=an ayne a=eyaykosiramsuypa hike ney ta [85] pakno a=rammoka wa
私たちは長いこと暮らした挙句、いつまでも私は思って、
[85] 同ノートでは、nei taと表記されている。
143
メノコ ネ ワ アン ペ アラムオカ
menoko ne wa an pe a=ramuoka
女性でいるものだと私は思って、
144
アシコヤイパタレイェ シリ アエランポキウェニ クス オラ アシエウタンネレ
a=sikoyaypatareye siri a=erampokiwen hi kusu ora a=sieutannere [86]
私は遠慮して、彼女が這いずり這いずりする様子を私はかわいそうに思ったので、私は夫婦になって
[86] 音声では、a=si... sie... sieutannereと聞こえているが、これはa=sieutannareを言おうとして詰まっているようである。
145
クニ アイェ アクス, エアㇻキンネ エヤイコプンテㇰ コㇿ
kuni a=ye akusu, earkinne eyaykopuntek kor
ようと私が言うと、大層彼女は喜びながら、
146
オラノ ウウェウンタンネアン ワ オカアン ワ ウコポシレシㇰテアン,
orano uweuntanne=an [87] wa oka=an wa ukoposiresikte=an,
それから私たちは夫婦になって暮らし、子宝にも恵まれ、
[87] 白老アーカイブに複数用例が見つかる。uweutanneuweutanne=an pa wa「それぞれ夫婦になって」〔川上まつ子さんの民話(ア) 雷神にさらわれた娘(1985)〕uweutanne=an pa wa oka=an hi neno「家族と一緒に暮らしていた時のように」〔川上まつ子さんの民話(ア) 伝染病で生き残った十勝の男の話(1986)〕pirka uweutanne a=ki「仲良く暮らしています。」〔川上まつ子さんの民話(ア)あの世の入り口(1987)〕
147
ポコインネアン ワ オカアン. ヤオㇱケㇷ゚ ネ ヤッカ
pokoinne=an wa oka=an. yaoskep ne yakka
子どもがたくさんいて、私たちは暮らした。クモにも
148
イㇼペトゥンカ ㇷ゚ インネ,
irpetunka [88] p inne,
仲間たちが大勢いて、
[88] 同ノートでは、irpettunkapとなっているが、irpetunka pではないだろうか。音声上もそのように聞こえたため、表記を改めている。
149
ウパㇱチロンヌㇷ゚ アネ ワ アシヌマ ネ ヤッカ
upascironnup a=ne wa asinuma ne yakka
オコジョで私はあって、私にも
150
アイㇼペトゥンカ ㇷ゚ インネ ㇷ゚ ネ クス
a=irpetunka [89] p inne p ne kusu
私の仲間が大勢いるので、
[89] 同ノートでは、irpettunkapとなっているが、irpetunka pではないだろうか。音声上もそのように聞こえたため、表記を改めている。
151
ヤオㇱケㇷ゚ マッ アコㇿ ワ
yaoskep mat a=kor wa
クモの女性を私は妻に持ち、
152
ポコインネ アキ, ネ... ネㇷ゚ カ ポンノ ポカ トゥラノ アナニ オラノ アナㇰネ アコエチウペ イサㇺ ノ,
pokoinne a=ki, ne... [90] nep ka ponno poka turano an=an hi orano anakne a=koeciwpe isam no,
子どもをたくさんつくり、何かほんの少しでも一緒に暮らして、それからはXXXすることもせずに、
[90] 同ノートではneが括弧で囲われている。
153
ケウトゥム オロワ モイモイケ シㇼ ワノ イパロオㇱケ シㇼ スケ エアㇱカイ シㇼ ワノ
kewtumu orowa moymoyke sir wano i=parooske sir suke easkay sir wano
心から動く様子、私を養う様子、料理ができる様子を
154
アエヤイコラムオㇱマ コㇿ
a=eyaykoramuosma kor
私は気に入りながら、
155
アコㇿ ペ アコㇿ カッケマッ ネ ワ アコㇿ カッケマッ カッケマッ アナㇰネ ヤオㇱケㇷ゚ ネ ワ
a=kor pe a=kor katkemat ne wa a=kor katkemat katkemat anakne yaoskep ne wa
私の妻であって、私の妻はクモで、
156
アシヌマ アナㇰ ウパッ... ウパㇱチロンヌㇷ゚ アネ ワ
asinuma anak upat... [91] upascironnup a=ne wa
私はオコジョであって
[91] 同ノートではupatが括弧で囲われている。
157
ウパㇱチロンヌㇷ゚ ヤオㇱケㇷ゚
upascironnup yaoskep
オコジョとクモの
158
ウムレㇰ アネ ワ アポウタリ インネ ワ モㇱ... アイヌ モシㇼ カ エピッタ
umurek a=ne wa a=poutari inne wa mos... [92] aynu mosir ka epitta
夫婦が私たちであって、私たちの子どもたちも大勢いて、人間の世界中
[92] 同ノートではmosが括弧で囲われている。
159
メノコ ネ パ ㇷ゚ アナㇰネ ヤオㇱケㇷ゚ ネ ワ ムン カ ペカ カ
menoko ne pa p anakne yaoskep ne wa mun ka peka ka
女性であるものがクモで、
160
レイェパ パ ワ ヤオㇱケ パ
reyepa pa wa yaoske pa
這いずり這いずりして、網を編んで編んで
161
ウパㇱチロンヌㇷ゚ アポウタリ ネ ヤッカ インネ ワ アイヌモシㇼ カ オシピラサ ㇷ゚ ネ アクス アイェ セコㇿ…
upascironnup a=poutari ne yakka inne wa aynumosir ka osipirasa p ne akusu a=ye sekor…
(クモとして産まれたのではない)オコジョである子どもたちであってもたくさんいて、人間の世界の上に広がったので私は話しました。
display config
HELP